発酵したモロミを蒸留器にかけ水分の蒸発作業を行い気化させ、蒸気を冷却して蒸留水をつくります。
この際アルコールは比重が0.8と水より軽く表面近くに堆積しており、またアルコールの沸点は78℃と水より低いためこの蒸留水は最初に出てくるアルコール度数が60度以上とかなり高め、これを「初垂れ」と書き「ハナタレ」と読みます、古来はハナタレのことを「火の口」と読みました、これは屋久島固有の呼び方です。
蒸留終了時にはおよそアルコール35度の原種となります。
古来の製造、製法だと火の口は35度前後、蒸留終了時にはさらにアルコール度数は下がり「シタタイ」と読みました。
シタタイとは下垂れるがなまった呼び方です。
本坊酒造 女性杜氏
石井 律 (age29)
兵庫県伊丹市出身29歳
高校卒業後製菓の専門学校へ進学、卒業後はワイン好きな事やパティシエを目指してイタリア料理店へ努めたそうです。
杜氏を目指した切っ掛けは母が経営する居酒屋だったそうです。
焼酎と接する中で焼酎の魅力に引き込まれ、もっと焼酎を知らなければと鹿児島県へ焼酎造りの蔵を見学へやって来て度々周ったそうです、これが運命と本人談話。
とうこうするうちに転機が訪れ今後を考えたときに「自分でも焼酎造りをやってみたい!」と鹿児島へ一念発起で移住、いきなり焼酎造りが出来るわけもなくホテルや居酒屋でアルバイトをしながらチャンスを待ち「本坊酒造」で焼酎造りに携わることに、蔵子として杜氏の元で勉強して念願の杜氏へと登りつめられた逸材。
<焼酎造りの楽しさや難しさ>
毎日表情が異なる、表情を見ながら麹を育て上げる事です。
その後もろみが元気に発酵する姿が見れる事が喜びです。
自然相手、生物(麹)相手と言うことは予測出来ない事態にもなりうる、毎日それらと対話しながら人と同じ「生けるもの」と向き合い、悩み、楽しむ事です。
<目 標>
屋久島の水の最大の特徴である水の柔らかさを生かし、スッキリしている様で後からしっかりとした旨味を感じる焼酎を造ることです。
毎年毎年、原料や水、気候に左右され焼酎は変化します、「手作り」に拘る伝承蔵で造る焼酎ななおのこと、その変化こそ楽しんで頂きたいと思います。
女性であるという事がマイナスに取られる事も多々ありますがプラス面を全面に出して行きたい、美味しい焼酎造りは性別や年齢ではない事を伝えて行きたいです。
新たな出会いから生まれる物を楽しもう!と思わせてくれるこの屋久島と人に感謝!
さぁ~今日ももだれやめしよう~ もだれやめ???
杜氏の世界は厳しくまた女性は極めて少ない、彼女は若く経験からも大抜擢と思える。
いろいろインタビューして彼女の実直さと思い入れや意気込み、さらにやっぱり元気が彼女の魅力かも、関西人特有の物怖じしない性格が鹿児島人には強く印象に残る存在と思われる、この辺りが大抜擢の要因かも。
写真:屋久島季刊誌『屋久島ヒトメクリ.4号』より 4号に彼女の記事掲載
屋久島ヒトメクリ cafe ArBorより佐藤未歩氏により年3回発刊の屋久島季刊情報誌、屋久島のネイティブな話題が満載の屋久島オタク向け雑誌。
一度読んでみませんか? TEL 0997-46-4550 mail: info@hitomekuri.com
年間購読1,980円(年3冊送料込み) ホームページ http://hitomekuri.com
焼酎を美味しく頂くコツ
━━━焼酎を割る水が決め手(私のうんちく)。
- 屋久島の焼酎に限った事で言いますと割る水はかなり重要です。
- 私は関西に14年程いました、その際屋久島の焼酎を何度も持ち帰ったり、お土産にしました、その際明らかに美味しくなくなるのです、コンビニでミネラルウォーターなどで割っても全然ダメでした、ボルヴィックやヴァルベールなどヨーロッパの水は特に相性が悪かったです。
- 屋久島へ帰り観光案内などを行っていてもお客様から同じ意見を良く聞きました、「地元ではこんなに美味しいのに帰って飲むとそれほど・・・」と良く言われました。
- 屋久島の超軟水で育ったイモと水で仕込み、さらに出荷の際は屋久島の水で割り製品化されるので超軟水で出来た焼酎と硬水は喧嘩するのです。
- 水が原因と気づきお客様に水も一緒に購入するようお勧めしたところ、店員さんがどうして水もと良く聞いていたようです、それにお客様が私から聞いた理由を伝え今日では当たり前になりました、お土産屋さんもセットで売る程です、島を出て生活してないと気付かない一面かもしれません。
━━━水割りは前日に仕込む。
- これは理想ですが焼酎を前日にチョカ(キュウス)で水割りを作り冷蔵庫で寝かすとまろやかな焼酎になります。
- 若干アルコールが抜け水と焼酎が馴染み美味しくなります、毎日晩酌を欠かさないひとは一度チャレンジしてみませんか?
━━━お湯割りはお湯が先!
- 通常お酒を作る際は先にお酒を入れてからお水やお湯を注ぎます、焼酎のお湯割りはお湯を入れてから焼酎を注ぐと香りも味もさらに引き立ちます。
- その理由はアルコールの沸点にあります、アルコールは78℃で沸騰するのでお湯に注いだ際蒸気化してまず香りをたたせます、一瞬煮えた状態に一部がなるのでまろやかになり美味しくなります。
- 逆にすると少し苦みやエグミ、クセが若干ですが出てしまいます。
━━━焼酎の原料は焼酎芋に限る!
- 近年サツマイモも様々な種類があり食べて美味しい種類が沢山あります、それにちなんだ焼酎がお目見えしてきました。
- 奇をてらった商品開発なのでしょうが飲んでみるとすぐわかります、紫イモや安納イモなど食用として美味しいイモで造った焼酎はかなり味が落ちます。
- もともと焼酎造りに欠かせない焼酎芋の特徴は澱粉質が多い事です、よって食べて美味しいイモでなくシロイモの種で澱粉質の多いもの、コガネセンガンやシロユタカなどの物を選びましょう。
本坊酒造株式会社 屋久島伝承蔵
車でお越しの方へ
宮之浦方面より起こしになる際は安房集落を過ぎヤクスギランド方面へ向かう交差点の左角にございます。尾之間方面からですと右角にあり盛久神社の隣りに位置します。
※直接の販売は行っておりません、商品は酒屋やスーパーお土産物店でお求め下さい。
※焼酎仕込みは年間通して行っておりません、見学や体験希望は事前に確認、ご予約頂いてお願い致します。
住所
〒891-4311 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384
営業時間
定休日: 毎週日曜日
営業時間: 8:00〜17:00
電話: 0997-46-2511
ホームページ: http://www.homboshuzo.jp/hombo_blog/yakushima/